私が入院時に出会った個性豊かな患者さん達のお話です。
私が精神病棟に入院して、数か月が過ぎたころ、ある日女性の怒声が廊下から聞こえてきました。
騒ぎに驚いて廊下に出てみると、そこには男性スタッフ数名に抱えながら、連れられてきた、今日から入院する女性患者さんでした。
私が入院していた所は、日中に病院施設外への買い物や散歩も自由なところでした。
一般的な病院と変わらない普通の病院でしたから、入院患者さんたちも、比較的穏やかな症状の方が入院されており、大声を出すとか、暴れるといった場面に今まで出くわすことがありませんでした。
病院には、鍵をかけて拘束する閉鎖病棟は無いため、その患者さんは一般病棟の個室へ入院でした。
初めて見る、暴れる患者さんを見て、私は大変恐れを感じたことを覚えています。
私は、その女性患者さんとは関わらないようにしようと心に決めたのです。
大騒ぎのあと数日間、その患者さんは大変疲れ切った様子で、誰とも話すこともなく食事時間になると、個室から出てきて無言で食事をとり、その後静かに部屋へ戻っていく生活を送っていました。
ところが、しばらくたつと女性患者さんの様子が一変したのです。
続きます。